jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

第3波の隠れた構造が見えた

東京の第3波を予想した時、2つのガウス分布を重ねるような形にした。1つ目のガウス分布は、12月から始まり、幅が広く、ピークが1000人/日程度の山であり、2つ目のガウス分布は、お正月のちょっと後に2000人/日のピークを持つ細く高い山であった。東北大の押谷教授は、細く高いピークを「感染学的に異常」と指摘し、データの信ぴょう性を疑ったほどである。

NHKが数値データを(csvの形式で)公開してくれるようになってから、非常に分析がやりやすくなり、感謝している。今日も新しいスクリプトを書いて、データを加工してみたのだが、1週間の新規感染者の統計を県別にグラフにすることができるようになった。

作ったデータを利用して作った、大阪と東京のグラフを重ねたとき、東京のグラフがどうして2つの山の重ね合わせになっていたのか閃いたのである。まずは、そのグラフを見てみよう。

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大阪と東京における1週間の新規感染者総数の推移

この2つの大都市は、スケールこそ違えども、推移の様子はそっくりである。ただし、「第3波」以外は。

大阪のグラフをみると、「第3波」が二瘤駱駝状になっているのがわかる。つまり、大阪は「第3波」が第3波Aと第3波Bに分かれているのである。そして、その形は東京のグラフにも微かに見えるのである。

大阪の第3波Aのピークは第46週あたりに発生しているが、これは12月3日から12月9日の期間に相当する。

この期間のちょっと前の11月末から12月中旬まで、大阪では飲食業に対して休業時短要請が出された。これはクリスマスや年末年始の「経済活動」(=飲み会)をやってもらうため、出来るだけ事前に感染者数を下げておこう、という企てであった。この政策は英国でも取られたが、突然変異株の出現によりクリスマス当日からロックダウンをかけるはめに陥り皮算用が崩れたのであった。英国と違って、大阪の場合はこの政策がある程度効果を発揮し、46週から50週目にかけて新規感染者数は減少した。50週目はまさに年の瀬+お正月の週にあたる。

府知事が予想した通り、お正月の飲み会は第3波Bの発生を許したが、政治家にしてみれば、これは「折り込み済み」のシナリオであった。

府知事がなるべく山を低くしようとした第3波Aの原因はなんだったのか?これはgotoキャンペーンと密接に関連がある。第3波Aは40週あたりから始まっているが、40週というのは10/22-10/28にあたる。秋の連休(秋分の日を中心とする「シルバーウィーク」)の1ヶ月後である。このころのブログ記事をみると、「ボディブローのようにじわじわ来ている」と書いてある。つまり、秋のgotoトラベルキャンペーン自体の影響は目に見えては確認できなかったが、gotoトラベルの話を聞いた人々が、「あ、旅行いいね」と焚きつけられて、2次的に(時間差で)活動を活発化させた気配が読み取れる。

おそらく大阪の第3波A(ピークは46週あたり)の原因は、gotoトラべルのことを聞いて、真似して動き出した多くの人々による感染拡大ではないだろうか?

この動きは東京でも見られており、それが「ゆるいガウス分布」に対応していたと思われる。結局、大阪も東京もgotoキャンペーンを「契機」として(原因とはいわないが)ウイルスが市中深く食い込む結果をもたらしたのである。

ところが、東京では(大阪と異なり)11月末から12月中旬にかけて何の対策も取らなかったので、gotoトラベルに煽られた感染の波と、年末年始の感染爆発がかぶさってしまったため、2つの山が合体してしまったのであろう。これが、2つのガウス分布によって、東京の第3波が記述できた理由だと思う。

年末年始の感染爆発(つまり第3波B)に関しては、(東京と比較して)大阪は低い山で切り抜けることができた(その理由はわからないが)。一方、ピークからの減少のペースは東京も大阪も同じような割合である。したがって、山が低かった分だけ、大阪の方が早く感染爆発が収まったように見えてしまった。緊急事態解除を前倒ししてしまったのは、これが原因である。結果として大阪では現在第4波が東京に先んじて始まっているというわけである。

東京と大阪の振る舞いは(とにもかくにも)よく似ているので、大阪で第4波が急拡大しているということは、大阪に3週間遅れて東京でも急拡大が発生する可能性を示唆している。それはおそらく今週か来週に訪れるはずである。

東京のトレンドを知るには、月曜に発表される新規感染者数の推移を見れば良いことを、このブログでは提唱してきた。それを見てみよう。

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東京の月曜日の新規感染者数の推移

昨日の月曜日が44週目の月曜日であるが、ひと月前(40週)に底を打ってから、微増の状況がまだ続いている。つまり、大阪のような急増が東京で始まるのは、早くとも今週末、おそらくは来週初めからという予想である。明日(水曜日)の感染者数は注目で、予想が当たるか外れるかの分かれ道を知る上で重要な情報を与えてくれるであろう。