jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

緊急事態宣言の再延長を2週間とする意味はあるのか?

政府は、正式に緊急事態宣言を更に2週間延長し、3月21日までとすることを決定した。ただ、以前から指摘しているように、2週間という期間は、延長を発表したその日の状況が反映される期間を意味するから、延長された2週間の中でどんなにがんばっても宣言解除の日にそれまでの努力の結果が「可視化」されることはないのである....

これは多くの専門家によって指摘されていることで、それを承知で「2週間」といったわけだから、その理由は科学的なものではなく、別な理由によるものであろう。

本日の報道でも出ていたが、本日ついに東京の新規感染者の7日間平均が反転上昇となったそうである。東京23区別の実効再生産数(R')を見ても、「下げ止まり」の場所が軒並みである。この状況が2週間後の新規感染者を決定するわけだから、もはや政府の言う「目標」とやらを達成する見込みに関しては「絶望的」である。

まずは、上位10区を見てみよう。

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東京23区別の(近似)実行再生産数:2021年3月上旬(上位10区)

「平均値」は上位10区の平均値である。東京23区全体の平均値は、本日のデータを利用すると、<R'>=1.1となった。ついにR'=1を突破してしまった。文字通り「下げ止まり」である。上位10区はすべてR'>0.9を満たしているが、2を超えて「倍増」しているところもある。突然変異の基本再生産数は1.7-2だと言われているから、もしかすると本日2に近い値を叩き出してしまったところは、突然変異による感染クラスターが発生し始めているのかもしれないから、要注意である。いままで、文京区は優秀で、感染者はいつも少なかったし、減少の程度も大きかった。しかし、先週と今週の数字を見ると、16人→27人となっている(絶対数が少ないので「優秀区」ではあるが、「増加率」が大きくなってしまった)。

次は、残りの区、つまりR'<1であって、いまだに順調に感染者が減り続けている場所を見てみよう。

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東京23区別の(近似)実行再生産数:2021年3月上旬(上位10区以外)

世田谷区がぎりぎりではあるが、こちらに登場している。R'=0.85である。低くはないが、高くもない。世田谷区はこのレベルを維持していて、地道に感染者を減らしていることがうかがえる。

しかし、前週に比べて、R'>1となってしまった場所が非常に増えたと思う。東京の多くで「疲れ」が出ているのであろうし、「春の陽気」で喜んで出かけてしまった人も増えてきていることが予想される。

下位13区では、2週間後に感染者は減少しているはずだが、上位10区では感染者は増加しているはずである。まだ、上位10区のR'の値が極端になっていないので、2週間後にある程度の「減少」が見られる可能性はある。しかし、ほぼ水平のまま推移していくる可能性の方が高いと思う。

ということで、再延長し、2週間後の3月21日がどうなるか予想すると、感染者が「高止まり」になっている、というのが「最も嬉しいシナリオ」であり、「最悪のシナリオ」は突然変異と春の陽気で感染が「力強く反転上昇する」局面になっている、というものである。いずれにせよ、今すでにわかるのは、2週間では無理なので、(1)さらに延長される(2)無理に解除して、リバウンドしてしまう、のどちらかだと思う。

どちらのケースになるとしても、国民が疲弊するのは変わりないだろう。