jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

菅総理vs有働キャスター:昨年末の日本テレビのインタビュー

日本テレビは「政府寄り」の報道ばかりかと思っていたのだが、昨年末(12月14日)にgotoキャンペーンが全国一斉停止となった直後(12月16日)、日本テレビのニュース番組が行なった菅総理のインタビューは素晴らしいものだった。

ジャーナリズムの役割の一つとして、質疑応答を通した政治家の心中の「あぶり出し」があると思う。政治家が質問に答えないとき、その質問は的を得ているということだろうし、政治家が話を変えるとき、その質問に含まれる真実がその政治家の破滅を意味するだろうし、yes/noで詰問するだけでなく、様々な知的な手法で政治家が隠している内容をあぶり出すことが可能なのだ。

このやり方を初めて見たのは、英国のBBCの名物キャスターJeremy Paxmanが時の英国首相Tony Blairに行なったインタビューの時だ。(ちなみに、Paxmanは、BBCの人気番組University Challengeという大学対抗のクイズ番組の司会者としても有名である。)

朝までなんとやらの名物キャスターのように、独演会になったり、人の話を遮るような手法は時には効果的かもしれないが、ジャーナリズムの技術としては「初級レベル」である。

Paxmanの得意技は、同じ内容の質問を、フレーズを変え、切り口や視点を変えながら、なんども何度もなんども政治家に対してぶつけていくやり方である。単なる質問の繰り返しではなく、政治家の言葉を聞きながらそれをうまく利用しつつ、一見すると異なる質問になっているのだが、その奥底にあるものは「同じ内容」になっているのだ。

まるで将棋やチェスの勝者のような追い詰め方なのである。「チェックメイト」が入った瞬間は、政治家が言葉に詰まったときである(あるいは怒りに満ちた目でPaxmanを睨むときである)。どんなに話をそらそうとしても、コーナーに追い詰めるボクシングのチャンピオンのように、様々な技を繰り出して逃さないのだ。

Paxmanは王手をかけたとき、トドメの一撃は繰り出さずにパッと次の質問に移ってしまう。実は次の質問の方がもっとキツイ内容になっている。必死に先ほどまでの内容を隠そうと防御に精一杯だった政治家は、新しい質問に対して対応できず、「膝が折れ」、「地面に手を着けて」屈服するのである。こうやって政治家が言説をごまかさないように「嬲り殺し」にしていくのである。

逆に、誠実な政治家がPaxmanのインタビューを受けると、質問に対しての答えが短くなる。政治家が真実を語るとき、Paxmanは深入りしないので、次から次へと異なる内容の質問が繰り出され、あっという間に"Thank you for your time"となって終わるのである。見ている方は、すっきりした気分になり、この内容は信じられると考えるし、この政治家に好感を抱きすらする。実に見事である。

今回の日本テレビの有働キャスターによるインタビューは、日本のマスメディアが避けてきた「繰り返しの質問」を行なっていて、Paxmanの水準からするとまだまだとはいえ、実に素晴らしい内容であった。特に注目したのは、一時停止したgotoキャンペーンの再開時期を巡る質問の部分で(下の動画で9:10あたりから始まる)、言葉を変えながら2回同じ内容の質問をして、総理大臣が何も考えていないことをあぶり出している(やりとりを見ていると、日本の政治家の説明能力水準の低さも相まって、まるで漫才のようである)。白状すると、我輩は爆笑してしまったのである。

 

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