jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

長野県の死亡率が急上昇:交差免疫の仮説が揺らいできた

9月の終わりに書いた「県別の死亡率」のグラフにおいて、新潟県静岡県、長野県、栃木県といった地域の死亡率が0.3%以下となり、他の都道府県に比べて、値が非常に小さいことを指摘し、「交差免疫」の可能性について議論した。

このひと月の間に、死亡率の全国平均値は1.96%から1.86%に低下した。増加したのは、富山(6.08%→6.15%)、石川(5.84%→5.96%)、大阪(1.95%→1.98%)などであるが、微増であって、騒ぐような話ではない。

首都圏の、東京(1.63%→1.51%)や神奈川(2.06%→1.98%)、埼玉(2.21%→1.95%)、千葉(1.88%→1.69%)は微減であった。

大きく下げたのは北海道である(5.27%→4.34%)。

また、新潟、静岡、栃木は低い水準を維持している(それぞれ0%, 0.35%,0.22%)。

そんな中、大きく死亡率が跳ね上がったところがある。長野県である。

長野県の死亡率は9/26には0.33%しかなかったのだが、今日のデータでみると1.24%である。実に4倍近くに跳ね上がっている!全国の死亡率平均値1.86%に比べると半分程度ではあるが、四捨五入した数字で比較した時に、1%と2%の違いというのは、0%と2%の違いに比べ、「大きく」見える。

長野県で死者が出ている場所は、長野市である。おそらく、病院クラスターが発生した長野市赤十字病院で入院していた高齢の患者たちが力尽きているものと思われる。

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どうやら、長野県における死亡率の(かつての)低さは、病院内や老人福祉施設でのクラスターがなかったことによるものらしいことがわかってきた。気をつけていた、というわけだ。しかし、このところの気の緩みのせいなのか、それとも首都圏からの観光客が長野県内で激増し、首都圏由来の無症状感染者による「見えない感染」が長野市内で増えているのか、のいずれかの理由により、ついに長野の街中に新型コロナウイルス が侵入したといえるのではないだろうか?

長野赤十字病院クラスター感染の後の死亡率が、全国平均値と大きく変わらないということは、長野県民には交差免疫はなかったという説も受け入れる必要が出てきたと思われる。もしかすると交差免疫が切れてきたのかもしれないが、だとすると、新潟や静岡でも感染が拡大するはずである。しかし、実際には、そういうことは起きていない。

静岡、新潟、栃木などにおける低死亡率も、「人々の注意の賜物」以外のなにものでもない、という可能性が出てきた。交差免疫の議論は、しかしながら、医学的には世界の研究機関で確認されていることである。(どこぞの総理大臣のように)「まったくあたらない」わけではないが、それが主因ではなさそう、という感じになってきたのは確かである。統計に注意しながら考えていこうと思う。