jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

東京における感染者増加の倍加時間の予想(3)

倍加時間の予想の3回目である。偶然この予想を行なう金曜日にその週の最大値が報告されるフェーズになってしまった。週の初めは事務作業の関係で集計が手間取り、感染者数の数字が少なめに出る傾向があるのだという。手間取っている間に感染は次々と進んでいくので、この「ギャップ」はできる限り縮めないといけないだろう。

さて、本日は293人の陽性判明者が報告された。これまでの最大であるのに、皆それほど驚いていていないように見える。それもそのはずで、まさに「予想通り」の増加をみせているからだ。

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東京の倍加時間の予想(3)

先週までの予測カーブが緑色の曲線で、今週のデータを用いた予想カーブが紫色である。倍加の度合いは少し弱くなっているものの、ほぼ予想通りに来ていることがわかる。というより、全体を見ると、先週のデータが少し上目に揺らいでいた、と解釈すべきように見える。

倍加時間を計算すると、今週のデータで10.34日となった。先週までの計算

は9.00日、その前の週は10.42日であった。この数字を見ても、先週の増加が増加トレンドを上回っていたことがうかがえる。

先週の記事において、「来週の終わり頃には300人をうかがうような新規感染者が発生することになるだろう」と書いてみたが、まさに予想通りになった。これが「驚きが少ない」理由の一つであろう。こうなることは、みな、だいたい予想できたのである。

さて、次の1週間はどうなるだろうか、予想してみよう。予想カーブを読み取ると、次の7日間で発生する新規感染者の総数は2350人ほどになる。1日の平均に換算すると330人強である。つまり、300人を超える日が常態化する、という予想である。

しかし、ここでPCR検査の頭打ちの問題が出てくる。現在PCR検査の数は、最も多い日で4700件ほどである。陽性率は6%程度であるから、計算すると282件となり、これは昨日の感染者数と同じ数である。陽性率は市中への蔓延度合いを測る量であり、それほど変化しないはずである。とすると、1日に330人ほどの陽性者を見つけ出すためには、PCR検査を1日5500件やり続けなければならない。

東京都によるとPCR検査の最大能力は1日6500件だという。となると、来週はほぼフル稼働の状態を続けないと、週末の落ち込みをカバーできないはずだ。ニューヨークや他の国々と違って、東京は週末の処理能力が著しく低下する傾向が強い。たとえば、こんしゅうの場合、PCR検査の数は次のように推移した(カッコは抗原検査を含む数)。

7/15: 2557(2839)

7/14: 2854(3183)

7/13: 3564(3925)

7/12: 763(882)

7/11: 2062(2268)

7/10: 3305(3551)

7/9: 2904(3106)

平均値は2573件(2822件)である。7/12日曜日は平均値の30%に満たない。

本日の293人という数字を出すために、何件の検査をやったのかみせてもらう必要があろう。それをみれば、来週の「発表される数」は280-290人程度で頭打ちになってしまって、実際には感染者はうなぎのぼりに増加するというまずい事態になるのか、それとも、陽性率が7-8%へと上昇しながら3500人程度の「発表される新規感染者」を生み出し続けるのか、それともPCR検査を増やして陽性率がサチってしまうのか、おおよその見当がつくというものである。

来週は、予想カーブから大幅にずれてくることが予想される、ということは予めここに書いておこう。その予測の検証はまた来週である。

 

追記:朝日新聞の取材によると、東京都の担当者は「まだまだ増える」と言っているとのことだ。ということは、4500検体/日の態勢をできる限り維持するつもりということだから、陽性率が上がるのを許すことで3500人/日の感染者発見を目指すということだろう。ただ、この方法だと感染していても見逃すケースが増加してしまう。ニューヨークのように、PCR検査を劇的に増やし、陽性率を1,2%まで徹底的に下げることで、隔離率を劇的にあげるのが科学的には正解である。これができれば、この騒ぎはすぐに終わることはSIQRモデルの計算が予想している通りである。