jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

アメリカのD614G突然変異型のスーパースプレッダー事例(SSE)

 

G型変異の感染力を物語るスーパースプレッダー事例

沖縄の米軍で大規模なクラスター感染が蔓延している報道があった。G型の新型コロナウイルスは感染力が強く、欧米のような感染爆発を起こしてきた「実績」がある。日本での感染がそれほどまでには至らなかったのは、この変異型がまだ日本国内に侵入していないからではないか、と我輩は考えている。しかし、米軍基地にはそれが入り込んでいる可能性がある....といことで、G型が米国で引き起こしている大規模クラスター感染の事例を見てみたいと思う。

G型の新型コロナウイルスの感染力の強さを物語るのが、いくつかのスーパースプレッダー事例(Super Spreader Event = SSE)である。これに関しては、本日のABCnewsで報道があったので、そちらも参考にしてもらいたい。

 

abcnews.go.com

アメリカ合衆国大統領の強い意向もあって、最近の米国では「経済的な理由による社会活動」が再開した。コンサートやビーチでのBBQパーティー、繁華街での外食などその形は多種多様だが、特にこの報道が着目しているのは、教会におけるクラスター感染である。とりわけ、教会の聖歌隊の中のクラスター感染と、その観衆のクラスター感染である。

この動画で紹介されているクラスター感染の事例は, (1) 6月に発生したフロリダのケースと(2)3月に発生したシアトルのケースである。まずはフロリダのケースを見てみよう。

6月フロリダのケース

フロリダ(Fort Meyers)にある教会の, 大規模集会に参加した17歳の高校生が死亡したケースである。彼女はpre-existing condition(持病)があったという(小児がん、珍しい自己免疫疾患の一種など複数)。abcnews.go.com

まず、地元の教会の大規模な集会(100人程度の子供たちと一緒に)に参加した。マスクはせず、ソーシャルディスタンスもとらなかった。

3日後、症状が出始める。

10日後、死亡。

上のabc newsの記事によれば、親は自分で手に入れたhydroxychloroquineを与えたという。この薬はそもそもマラリアの薬であるが、トランプ大統領やブラジルの大統領が「特効薬」と思い込んで服用している薬だ。しかし、トランプ大統領の言葉を鵜呑みにした国民が勝手に服用して問題が頻発し、アメリカのFDA(食品衛生管理局)が「むやみに服用しないで」と声高に警告している薬である。心不全などの重篤な副作用があるらしい。

3月のシアトルのケース

シアトルの北にある教会の聖歌隊でのクラスター感染である。詳細な分析はCDCが行い、レポートが公開されているが、わかりやすい記事はあちこちからでている。

 

abcnews.go.com

www.seattletimes.com

この場合は「スーパースプレッダー事例」である。つまり、たった一人の感染者が多数の感染を引き起こすケースであり、日本で最初のクラスター感染である屋形船での飲み会、ハワイ帰りの老婦人によるスポーツクラブなどがそれに当たるし、韓国の大邱で発生した新興宗教の集会の感染が世界で最も有名な例だろう。

感染が発生したのは、聖歌隊の練習会だった。2回の練習会を通じて、1人の感染者から52人が感染した。感染者のうち、重症者は3人で、死亡者は2人であった。これほどすごいスーパースプレッダーは日本ではまだ発生していないと思う。これがD614Gの恐ろしさなのかもしれない。感染し、なんとか回復までこぎつけた聖歌隊のメンバーの老婦人は「it's not worth it」といっている。死を覚悟してまで協会の歌の練習にいくことなどない、という意味である。

Go to トラベルキャンペーン始まる

アメリカ合州国のように、日本でも「緩み」が生じている。「うんざり感」もあるし、「経済を回る」ことに必死な人もいる。しかし、アメリカの事例を見る限り、この動きは良くない結果をもたらす可能性が高い。

まだ、G型は日本にはきていないし、日本自前のG型種の突然変異も発生していない。この状態が永遠に続くなら、(以前と同様に)日本の状況悪化はなんとか抑えることができるのかもしれない。

しかし、国同士の交流を始め、外国人観光客を無節操に招き入れ、病院のベッドの空きはまだあるからとか、若者は重症化しないとか、あたかも「感染してもいいから、とにかく動き回って金を使え」と推奨しているかのような政府の動きは、突然変異の発生を加速してしまう可能性も高いし、突然変異を外国から招き入れてしまう可能性も高い。

そうなると、アメリカで報告されているようなスーパースプレッダーが集団に紛れ込んで、感染爆発を起こす可能性は一層高まるのである。