jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

大相撲の力士の抗体検査とスーパースプレッダーの有無

 

大相撲力士とプロ野球選手の抗体検査の結果

大相撲の力士に抗体検査を実施した結果が公表された。

891人に対して、陽性者は5人。しかもこの5人にPCR検査を行ったところ、いずれも陰性だったという。つまり、「自分で治してしまった」ということになる。野球選手も抗体検査を行って、巨人の選手が「無症状感染者」だったことが判明したが、すぐに治ってしまい、今では試合に出場している...運動選手はすごい。

ただ、5月に力士の方が一人亡くなった。糖尿病を患っていたとはいえ、運動選手誰もが剛健だというわけではない。

ここで興味があるのは、特定の集団における「抗体保有率」である。これまでの調査では東京都の抗体保有率は0.1%程度であると言われてきた。力士と野球選手の場合はどうだったのか、計算しておこう。

力士の場合は5/891=0.0056..つまり0.6%程度である。野球選手の場合は、4/281=0.014...つまり1.4%程度である。野球選手の方が二倍以上抗体保有率が高いのは驚きだ。格闘技の方が試合中の感染が起きやすいように思ったからだ。

力士の抗体保有率も、一般人に比べれば五倍も高い、ということになるが、測定の精度もあるから、桁が一致していれば、まあ同じ程度とみなすべきだろう。

感染力の「弱さ」とスーパースプレッダー

集団免疫の獲得を目指して、ロックダウンしなかったスェーデンでも5月の初めあたりで、ようやく7%程度になったと報道されていた。この感染症は恐ろしいのだが、その感染力は思いの外「弱い」のはどうしてなんだろうか?

実は、研究者の間で注目されているのは、「スーパースプレッダー」の存在である。大抵の人は、それほど相手に感染させることはないのだが、特定の人が特にウイルスを大量に撒き散らし、一度に複数の感染を引き起こすのだという。

つまり、平均値をとると感染力は「低く」なってしまうのだが、分散値が大きいため、感染が広まる時はとんでもないスピードで感染が広がるという極端な状況が発生している可能性が高いらしい。

感染力にムラがあるというもは、突然変異D614Gに関係するのだろうか? 新型コロナウイルス のうち、”G”と呼ばれるているタイプは、スパイク部分のRBDをもつS1部分と細胞膜と融合する機能を持つS2部分の隙間が狭まって、より物理的に固くなっているという話で、このタイプのウイルスの感染力は異様に強いということである。

となると、現在日本社会に蔓延している新型コロナウイルスのタイプは、初期の中国型であり、スパイクが割れやすく感染力が弱いのだが、感染が広まるにつれ、進化圧によって、よりスパイクが固くなった変異種が生まれ、その瞬間に突如として感染力が強まる、ということになっていないだろうか?スーパースプレッダーのことを議論していたのは、2、3月のことだったから、このタイミングでGが発生したのかもしれない。スェーデンでもなかなか集団免疫が獲得できないのは、まだGの割合が低く、初期型の感染が結構多いからではないだろうか?(とはいえ、日本に比べれば、格段に感染者も死者も多いので、Gが入り込んでいるのは明らかだが。)

日本でも感染者の増加をほおっておくと、Gと似たような変異種が発生し、スーパースプレッダーが大量に現れて一気に感染爆発へとつながるのではないか?

日本政府は、「第一波は日本(「政府」と言いたげだが..)の叡智と努力により切り抜けたので、その経験を生かし、第二波も切りぬけよう」と言っている。

新型コロナと共存する社会を作り上げ、社会活動、経済活動を継続しながら、感染防止を行う、という無理なことを国民に強いているのだが、これは結局「お前たちは金を使って経済を動かすのが使命なんだ。そこで感染し、病気になっても、尊い犠牲だから、奉ってやるぞ」ということなんじゃないだろうか?負傷兵に手厚い看護を提供する軍属病院みたいなもので、「戦争で手足を失っても大丈夫、俺たちがめんどうみてやるから」というわけである。

しかし、問題がもっと厄介であることに「将軍」たちは気がついてない。感染者が出れば出るほど、ウイルスは突然変異を起こすようになるのである。「第一波の経験」なんかもっていても、それはもう2度と活かせないようになってしまうのである。スーパースプレッダーを生むような変異型Gを作らせないためにも、「死んだら骨を拾ってやるぞ」方式は絶対にやってはいけない。病院のベッドに余裕があるとかないとか、という話ではなく、とにかく突然変異を起こさせてはならない。RNAウイルスは自分の遺伝子の複製に関して「とても雑」なのだ。いつも間違いだらけなのだ。そして、その間違いの中から、化け物が出てくるのだ。

経済活動と両立させるために、「ある程度の感染者の増加は織り込み済み」などと"したり顔"で話す人々は、化け物がどうやって誕生するか知らない無知な者たちなのである。

インドで急に感染が爆発したのは、もしかしたら、アジアに、ついにGが入り込んだ可能性もある。