jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

世田谷区立の小学校で児童感染者が出たこと

ネットを見ると、世田谷区の区立小学校の児童一人が新型コロナウイルス に感染した、という報道に大きな動揺、衝撃が走っている。もともと、人口が多いこの地域(東京23区内で最多)では、感染者が多かった。絶対数で言えば、新宿での感染拡大が始まる4月頃は世田谷における感染者が東京区内で最多であった。ただ、人口に対する感染者の比率に換算すると港区や新宿区などの方が多くなる、という解釈がなりたち、人々はそれなりに冷静であった。

世田谷区民の観点から考えれば、まばらに感染者が発生している分には、遭遇確率(つまりSIRモデルのβである)は非常に低いから、絶対数が多くてもそれほど心配ではなかったはずだ。

ところが、小学生に感染者が出て、その感染経路が不明であり、下手をすると学校内感染かも、などということになると、これはクラスターの発生の可能性が高まる上、家族内感染を通して、区域一体の大流行に結びつきかねない。ということで、多くの人が心配になり、恐怖を感じている、という構図なんだろうと思う。

小学生児童に感染者が出た、という報道が出たのが本日夜半、つまり0時過ぎであったというのが、別の意味で大きな問題であった。というのは、東京都知事選挙の選挙会場として小学校の多くが利用されているからだ。万が一、感染者が出た小学校を消毒もなにもせずに会場として利用し、そこで感染者が新たに発生したとなると、東京都は責任をどうとるのか、という問題が発生する。

かといって、感染が判明したのが投票当日の7/5のことだったので、選挙会場が8時に開くまでに学校全体を消毒することなぞ、できはしない。果たして、この問題をどうやって東京都や選挙管理委員会は切り抜けたのであろうか?この問題はネット上で若干議論されていて、「さあね」という結論になっていたのだが、さきほど解決らしいものが議論されているのを見つけた。

どうやら、どこぞの誰かが関係当局に問い合わせたようで、選挙会場での感染の可能性について尋ねたという。その返答として、「感染した児童が通っていた小学校は、選挙会場としては利用されていないのでご安心ください」という情報を得たという。

これで、世田谷区の選挙に行った人たちの心配は解消された。情報というのはこういう形で開示すると人々の役に立つのだと感じた。世田谷区も東京都も、とにかくひた隠しに情報を隠蔽しようとしているが、それでは住民の恐怖には対処できないし、恐怖に駆られて調べまくっている人たちの暴走(デマやでたらめの拡散)を、むしろ誘導していまうことになる。

むかし、長野県松本市発生したサリン事件(東京の地下鉄でのサリン事件の前年に発生)において、河野さんという一般人が当初疑われ、警察から冤罪をなすりつけられて、ずいぶんひどい目にあったことがあった。デマとか思い込みというのは、人を殺すこともあるから気をつけないといけない。

さて、選挙会場に利用された小学校に感染した児童が通っていないということになれば、消去法を使って、感染が発生した学校を(大雑把だが)絞り込むことができる。

世田谷区の区立小学校は100校よりは少ないが50校以上はあるだろう。その全てに電話をかけたり、メールを送って問い合わせるのは大変だ(とはいえ、横浜の場合は、そうやって電話をかけることで絞り込んで行った人もいたそうである...)。しかし選挙会場のリストがあれば、その全てをしらみつぶしにする必要はなくなる。

ところが、選挙会場のリストを調べてみると、世田谷区のホームページからすべて削除されていたのである。(ちなみに目黒区、品川区、渋谷区などを試しに調べてみると、本日、つまり翌日になっても、まだそのリストは閲覧できる!)つまり、世田谷区は事前に手を打って、会場リストから割り出されないように手を打ったと見える。

しかしである。google検索のオプションをうまく利用すると、昨日まで表示していたデータを引き出すことは可能であり、それを利用すると、いとも簡単に世田谷区の選挙会場のうち、小学校だったところのリストを見つけ出すことができるのだそうだ。(言われた通りに実行すると、ちゃんと出てきたからすごい。)

世田谷区の小学校のリストは世田谷区のホームページで公開されているので、感染児童が通っている可能性のある小学校をリストアップすることはできる。こうして、15校程度まで絞り込むことが可能になる。

いくつかばらついている地域もあるが、リストを見たところ、とある川に沿った地域に、候補として残った小学校がたくさん分布していることがわかる。もちろん、この地域とは無関係の場所に一校だけ孤立しているような候補もあり、そこが点として該当する可能性はある。あくまで、候補となる学校が固まっているのがこの川沿いだというだけであって、その地域がどうのこうのというわけではない。

しかしながら、この地域は絶対に違う、という地域も判明するわけで、広い世田谷区のなかでも、感染者が出た可能性のある地域を絞り込めれば、それは大きな情報となりうる。

この後やるべきことを言ってみろと言われれば、例えば、候補に残った学校に直接電話をかけてみても良いだろうし、実際に行ってみて休校になっているか確かめてもいいだろう。ネット社会であるからには、連携して調査を進めれば、あっというまにどの学校か判明してしまうはずである。

ここで、問題にしたいのは、世田谷区や東京都が情報を隠そうとしても、いろいろな方法を利用して、それは遅かれ早かれ、一般人にばれてしまうということである。これに加えて、横浜の場合のように、内部関係者からのリークもあるだろうし、大田区のように少数の誰かが何らかの方法で情報を知り得て、公開してしまう場合もあるだろう。

結局はばれてしまうものをひた隠しにして、その間に万が一にも感染が蔓延したりした場合、初動対応のまずさを指摘されたりといった状況が発生すれば、その先の市民と当局の間「信頼」というものは失われてしまう。その結果として、命を奪うようなデマやでたらめが飛び交い、大変な無法状態へと突き進んでしまう可能性だってある。心無い差別や、無関係の人が風評被害に遭うことも考えられる。

東京とも世田谷区も、個人情報を晒す必要はないので、住民の安心に関連する情報だけは速やかに公開すべきだろう。たとえば、どの地域の小学校で感染者が何人出て、感染経路はどうで、その児童の医療処置の程度、学校内のPCR検査の規模、クラスター感染の有無などを、こまめに公開することで、安心と信頼が得られるはずである。これこそが、知性によるクラスター対策であり、勝利への方程式となるはずである!

[追記] 夕方になって、各小学校のブログや給食情報が更新され始めた。感染児童が発生した小学校は本日は休校であるから給食情報などは更新されることはない。先ほどまでに15校程度に絞り込めたから、これらの情報を確認することで、さらなる絞り込みが可能となるだろう。

面白いのは、繁華街に近いある小学校のアクセスカウンターをみると、今月のアクセス数が8000人であるのに対し、本日1日のアクセスが6000人になっていたりする。つまり、世田谷区に在住の6000人近い方が疑ってあちこち調べているということである。また、午後の時間帯にアクセス制限がかかった小学校もあったようだが、その学校は選挙会場になっていて(おそらく)無関係だと思う。

ちなみに、とある検索キーワードランキング情報にアクセスすると、2、3の小学校の名前が特に高い頻度で検索されていて、結構な人数の方がその学校を疑っていることが確認できる。検索されている学校の中には選挙会場になっているものもあり、(おそらく)そこは大丈夫だと思われるが、感染者が出たと疑われる最終候補に残った学校もある。後者は繁華街に近い学校なので先入観みたいなものがあるのかもしれないし、実際その学校なのかもしれない。ただ、この段階で、先入観のままに学校名を書き出すと「デマ」の誕生である。気をつけねばなるまい。

給食情報を夜に行う学校も数校あるので、おそらく今晩の日付が変わる頃には数校にまで絞り込めるはずだ。とはいえ、すでにこの段階で、記述がおかしい感じの学校があって、我輩は個人的にはこの中のどれかが該当するのではないかと考えている。毎日、ある時間に決まって更新されるはずの記述が今日だけ書かれていないのだ...もちろん、誤解している可能性もあるから気をつけねばなるまい。

こうやって、デマ寸前の状態というものは醸造されていき、行政への不信となって溢れ出すのだ。世田谷区は早く情報開示に動いてもらいたい!