jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

PCR法のしくみの概略

本日の東京の新規感染者は131人。都知事はついに「不要不急」という条件こそ付けたが、ついに移動制限(自粛)を呼びかけることになった。この言葉を聞いて、20-30代の人々がどれだけ行動制限するかは疑問だが、(初期の)指数関数的増加を考える上では行動制限がない方が予想しやすい。政府はまだ「経済と両立」などといっているので、なおのこと計算どおりに推移するのではないかと考えている。昨日の分析によれば、倍加時間10日の指数関数的増加である。

指数関数というのは、一般の人(政治家も含む)には馴染みのない考え方らしい。「このところ50人代で安定している」とか「若者が3/4を占めているのでまだ安心」とか、あっという間に手が届かなくなる指数関数的増加の恐怖を微塵も感じさせないコメントが政治家の間に目立つ。ちょっと危険な感じがする...

ところで、指数関数的に増加するのはなにも感染者ばかりではない。PCR検査でも「指数関数的増加」が重要になるのだ。

PCR検査のやり方は以前も調べたのだが、細かいところを把握し忘れていた。まず英語の省略でCRの部分はなにを指すかというと、それはChain Reaction、つまり連鎖反応だった!もともとは、原子炉や原子爆弾におけるウラン235とかプルトニウム239といった核物質の(遅い中性子を媒介とした)分裂反応をさすのが、「連鎖反応」という用語であった。鼠算式に中性子の数が増え、核分裂の数も増えるというのが連鎖反応である。

これと同じ仕組みで、DNAの複製を行うのがPCRすなわちP連鎖反応である。では、Pは何を意味するかというと、ポリメラーゼという酵素である。この化学物質がDNAの複製を実施しているのである。ポリメラーゼを取り出し、増幅したいDNAやRNAと混ぜ合わせ、その溶液の温度を上げたり下げたりすると、酵素の反応が開始して、DNAの複製を試験管内で行うことができるのである!当然この仕組みを発明した人はノーベル賞をもらっている。

ジュラッシックパークで、琥珀に閉じ込められた蚊の体内から、恐竜のDNAを取り出すシーンがあるが、少量のDNAを増やすのがまさにPCRである!また、犯罪捜査で採取した微量のDNAもPCRにかかれば、いくらでも増幅できるのである。かつて、少量のDNAを無理やり解析したため、捜査結果が間違ってしまったこともあったようだが、PCRの実用化により、そういう問題は減ったようである。

温度の上げ下げの周期は2−3分で、分析可能な量にするためには,100万倍から1兆倍にDNAを増幅する必要があるらしい。これは20-40サイクルに相当する。したがって、1時間から2時間程度の時間が(増幅に)必要となる。

加えて、増幅したDNA断片の配列を、完全なDNA配列が解明されたウイルスや生物のDNA配列パターンと比較するための時間が必要になる。計算機の速度にも依存するが、だいたいトータルで6時間程度がPCR検査には必要になると言われている。

仕組みを知れば、納得である。