jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

「職場内クラスター」の発生:飲み会と日本型食事(沈黙型)の関係

3月4月の段階で注目していた「職場内クラスター」だったが、そのときはなぜか大きな火元にならずにすんだ(韓国ではコールセンターで大規模クラスターが発生し大問題となった)。それが、ここにきてようやく「火種」として問題視されはじめてきた。

昨日の東京での感染者55人の内訳が少しずつわかってきたのである。新宿の水商売の関係者が12人、そして職場の同僚クラスター(飲み会クラスター)が9人ということである。残りはこれまでの感染者の関係者と市中感染の単発組だろう(だとすると、結構多いが)。

とりわけ報道が大きく取り上げたのが職場感染である。仕事の後に飲み会に行った20代の男女の会社員だという。この会社ではこれまでにも感染者が発生しており合計で16人にも及ぶという。若手社員が夜に飲み会などで遊び歩いて、感染し感染させ、街中に新型コロナウイルス を撒き散らしている様子が目に浮かぶ。そして翌日出社して、今度は中年以上の上司たちに感染を広めているのではないだろうか?(詳細な情報がないから、あくまで推測にすぎないが。)

さて、昨日の「新宿→埼玉拡散仮説」に基づけば、この飲み会クラスターを発生したのは新宿から埼玉方向にかけての地域にある会社ではないかと予想される。そこで、以前やった方法でググってみることにした。

まずかかったのが、新宿にあるKDDIのお客様センターにつとめる派遣社員である。プレスリリースに目を通すと、このセンターでは5/1にも感染者が発生している。(新宿にある別の販売店でも4/28に感染者が出たようだ。)やはり、携帯電話/スマートフォンなどの買い物客というのは、不特定多数の人がやってくる場所であり、説明のために「会話」もたくさんしないといけないから、感染しやすい場所なのかもしれない。しかし、この場所での感染者は現在一人だけ(6/22の段階で)だから、昨日の職場クラスターの候補としては弱い。

gumiという新宿のゲーム会社がヒットした。社員層が若い感じがする...ただ、6月15日の段階で感染者は一人だけだという。その後、速やかに在宅勤務にしたというので、この文面を信じる限り、ここではなさそうだ。

少し以前の情報になるが、6/11に豊島区の不動産会社でも20代の社員一人が感染したという。なるほど、不動産屋の営業は若い社員が多い。情報交換や人脈開発といった様々な名目で、職場の飲み会も多そうだ。職場クラスターが発生しそうな環境ではある。

しかし、どれもこれも、いまひとつ条件に合致しない。単発でいろいろ出てくるが関連する会社を探し出すことはできなかった。

東京都の発表によると、今回のクラスターが発生したのは「都内の人材派遣会社」だという。人材派遣会社がどういう仕事をしているか知らないが、手持ちの情報を他の社員と共有するために、ミーティングやら昼食会やら飲み会を頻繁に開いているという情報もちらほら見受けられる。はたして、その会社は新宿から北に位置しているのであろうか?きになるところである。

そういえば、「会食」や「飲み会」がなぜ感染を広めるかよくわからなかったのだが、今朝の北村先生の説明ではっきり見えてきた。けっきょく「唾液感染」である。美味いと思うものを口に入れると唾液が出てくる(パブロフのワンちゃんは鈴を鳴らしただけで出てしまうが...)。楽しくなって、口に食べ物を頬張ったまま、喋り出す。唾液が四方八方に散っていく。エアロゾルのような形で、目や鼻などの粘膜に入り込む...こういうことらしい。唾液+会話=感染、ということだという。

「黙って食べろ!」という明治の日本型食事に戻せというわけである。欧米では、会食と言えば、会話と食事の両方が重要な要素を占める。日本で感染があまり広がらなかったのは、この「明治期以前」の食習慣が若干残っているからなのかもしれない。これが「ファクターX」だとすれば、沈黙し緊張に包まれた明治時代のちゃぶ台の夕食風景が「日本人の民度の高さ」という訳である(なんとも寂しい...)。