jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

Jurassic ParkとJurassic Worldを観る

 

Jurassic parkとストップモーションピクチャー

新型コロナウイルスによる自粛生活を始めて半年近く経とうとしていることに気づき、驚異を感じている。ペストがヨーロッパで大流行した400年前は、感染を避けるために実家の(大)農園に引きこもったニュートンは、万有引力の理論、微分積分の基礎、そして光学の実験/理論の整理などをおこなったそうだが、我輩はamazon primeで映画を見る毎日である。先日はContagionを見た感想について言及したが、本日は、その後に見ているジュラシックパークのシリーズについて色々と書いてみたい。

最初に見るのは、もちろん、スピルバーグがCGを大々的に取り入れて成功したジュラシックパークである。これに異論を唱える人はおるまい。ジュラシックパークが時代の転換期を代表する作品となったのは、単なるおもしろい恐竜映画だったからではない。むしろ、恐竜を題材にしたSFなんて古典中の古典だ。アーサー・コナン・ドイルのLost Worldやジュールベルヌの地底探検がある。ジュラシックパークが時代の転換点となったのは、CGを使った恐竜の表現を初めて行なったからだ。ジュラシックパークよりも前に、ターミネーター2やアビスでCGはすでに利用され観衆はすでに衝撃を受けていたが、実際の生物(絶滅しているが)に適用されたのはジュラッシックパークが最初だ。

それまでのSFといえば、スターウォーズのAT-AT Walkerのシーンやロボコップの最後の戦いにも見られるように、人形を用いたストップモーションによる特撮が主であった。ジュラッシックパークも当初はストップモーションを考えていたそうだが、CG技術のデモを見て考えを改めた話はもはや伝説である。ストップモーションを担当したのは、上記のAT-ATとロボコップの特撮を担当したPhil Tippettだ。そのデモビデオは、CGで完成させた最後のクライマックスとほぼ同じで、初めて見るととても驚く。

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一旦は首になったPhil Tippettだったが、CGで作るにしても「動物の動き」というのは計算だけではうまく表現できないことが判明していく。結局ストップモーションの技術で培ったノウハウを利用することになり、特撮チームに再雇用されたという。ということで、彼はジュラシックパークのエンドクレジットに”Dinasour supervisor"という役で名前を連ねている。

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70-90年代がPhil Tippetの時代だとすれば、その前の世代、つまり特撮創世記の巨人がRay Harryhausen氏だろう。Jason and Argonautsのタロスのシーンは衝撃的であったし、タイタンの戦いのメデューサとの戦いには手に汗を握ったものだ。そういえば、この間見た「シンドバッドの7回目の航海」も彼の作品だった。

実は、最近の「ひつじのショーン」とか、「ウォレスとグルミット」、「チキンラン」なんかも大好きである。

先日は、ストップモーションとCGを組み合わせたガンダムのパロディをyoutubeで見て大笑いした。アイデアがあれば、素晴らしいものが撮れるのがストップモーションなんだと思う。

しかし、CGの技術は現代SF映画には必要不可欠になっている。その基礎がジュラシックパークにあるのだ。

Jurassic worldを見る:鳥と恐竜

Jurassic parkが90年代だから、2015年のJurassic worldでは「ジュラシックパークは考古扱い」だ。それだけ時間が経ったので、恐竜の研究にも大きな進歩があった。特に、ジュラシックパークの最後でペリカンが海の上を飛ぶシーンがある。これは自然な進化を通して「生き残った」恐竜こそが鳥である、という当時としては突拍子もない説を最後に匂わせた素晴らしいエンディングだった。それが、今や「通説」になっていて、ティラノサウルスですら羽毛をもっている姿で再現されることもあるほどだ。

21世紀になり、続編のJurassic worldが完成した際はすでに、恐竜が鳥に進化して「生き残っている」という説は広く認められていたので、恐竜学者たちは映画でそれがどのように反映されるか楽しみにしていたそうだが、結局は「ゴジラ映画」のような「古いスタイル」で表現されてしまい、非常にがっかりしたそうである。

とりわけ、ジュラッシクパークのクライマックスで登場したVelociraptor(Phil Tippettのストップモーションでも作られたシーン)は、現在の復元図を見ると「恐竜」というよりは「鳥」に近い!その上、映画で登場したのはVelociraptorではなく、Dinonychusであることが指摘されている。実際のVelociraptorは、中型犬と同じ程度の小さな恐竜であり、これが映画の終盤のクライマックスに出てくるタイプとはちょっと想像できない。また、映画で登場したDinonychusですら、現代バージョンの復元図では「鳥」だ。

 

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VelociraptorやDinonychusの現代の復元図(wikipediaより)

②がVelociraptor,⑥がDinonychus

カラスとT-Rex

カラスはT-Rexの直系の子孫らしい。よく見ると、そのプロポーションT-rexそのものに見えてくる。もしT-Rexがカラスと同じように、ぴょんぴょん跳ねるような走り方をしていたとすると、もはやジュラシックパークは「デタラメ映画の極致」ということになり、後世の人々から笑い者にされる可能性すらある。科学の進歩は本当に想像を凌駕すると思った次第である。

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京都大学ではウズラでT-Rexの歩き方を研究しているらしい...)

ジュラシックパークのもう一つの驚き

ジュラシックパークには最後にもう一つ驚きがある。最近、ニコラス・ケージが、フランシス・フォード・コッポラの甥であることを知って驚愕したのだが、ジュラシックパークハモンド財団の理事長ハモンド氏の役を演じていたのが、Richard Attenboroughであるが、この苗字、自然愛好家なら誰でも知っている英国の自然学者でありBBCの自然番組の大御所、David Attenboroughと同じである。もしかして...と思い、調べるとみると案の定であった。彼らは兄弟である!