jippiniusの自然科学研究

ジッピニウスの自然科学や技術関連についての備忘録です。

オンライン講義の様々な試み:iPadとApple pencil

 

オンライン講義寸評

オンライン講義が始まってしばらく経つが、わかってきたことが色々ある。いまだに手探りなことも多いし、せっかく見つけたノウハウもしばらく経つと忘れてしまうので、共有する形でここに記録しておこう。

いままで配ったことのない講義ノート/資料を、オンライン講義では配ることにしてみた。黒板を使って説明するという方法が使えないので、あらかじめ打ち込んで作っておいたPDF文書を黒板代わりにつかう...そんなイメージだ。

ところが、これを実施してみると「個人的に読めばいいだけのものを、わざわざ読み合わせているだけだ。やる気がわかない」という印象を持たれてしまった。人間というものは、実に難しい。結局、黒板でやっていることを、いやそれ以上の情報を出して提供しているわけなのに、PDFをスクリーンで読むのはやる気がわかないのだという。講義室の緊張感みたいなものを、学生は「望んでいる」のだろうか?

同僚の経験談や、テレビの情報番組、ネットの情報で、教員側の目線から「いつもより質問が増えた。学生がコミュニケーションをとりやすく感じているようだ」という意見を多く聞く。「顔が見えないから、気楽に質問できるのだろう」という解説がなされるのだが、そうだとすると非常に面倒くさい状況だと思う。つまり、日常の(対面式)講義では「緊張感」を重要視するが、その分積極性が落ちる。一方、オンライン講義では、緊張感がない分、積極性が(若干)上がる。どうすればよいのだろう?

さらに面倒なのは、オンラインだと積極性が上がる、と思っているのは教員側だけで、実際には大半の学生はマイクを止めて沈黙しているわけだから、大概の学生は結構しゃべりにくいと感じているのではないだろうか?

さまざまなスペクトルが入り混じる「オンライン講義」だが、はたしてどのようにやっていけばよいのか、非常に難しいものを感じる。

iPad + Apple Pencilの導入の前に

講義室の緊張感は、やはり板書という一発勝負に集中する教員のパフォーマンスに起因する。同僚の一人から、「オンライン講義でも"iPad+Apple Pencil"が同様の状況を作り出せる」というので、その導入を検討してみることにした。しかし、オンライン講義を日本中の大学が教育機関がやり始めた昨今に、注文が相次いでなかなか購入できない状況があるかもしれない。そこで、まずは手持ちの機材でどこまで肉薄できるか粘ってみることにした。

iPadは持っているのだが、技術革新のペースが早いせいか、今持っているタイプではPencilは使えないらしい。癪に障ったので、なんとかPencil無しに,古いiPadでそれらしいことができないか、試してみた。

 まずは、zoomの場合からみていこう。我輩は、macbookを使ってオンライン講義を行っている。zoomはmacbookにインストールしてある。そこにiPadを繋いで利用しようというわけだ。

zoomはiPad/iPhoneとの親和性が高く、「画面の共有」を選ぶと、AirPlay(無線)あるいはLightning(有線)で接続したiPadを選択することができる。非常に便利だ。airplayはタイムラグが結構激しいので、lightningで接続した方が安心だ。接続すると、iPadの画面全体が、macbookのzoom画面に投影される。

Pencilの代わりに、コンビニで買ってきた「トライアングルタッチペン」という100均ショップで買える「スタイラスペン」と呼ばれているタイプを試してみた。先端にゴムがついている「スティック」だ。三角形の断面で、意外に持ちやすい。

iPadでよく使う「メモ」ではうまく作動しなかったので、「keynote」を試してみると、反応したのでで利用してみた。描画モードに設定し、手書きを試してみると次のような感じである(作ったファイルはPDFに変換し、bluetoothを用いたairdropという仕組みでmacbookへ転送できる)。

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100均ペンで書いた数式と英語

第一印象は「うーむ...」である。ペン先が丸くなっている上に、ゴムなので、書くための「滑らせる」という使い方を想定していないように思える。むしろ、このペンは、指の代わりに「押す機能」が追求されていると感じた。無理をしてスクリーン表面をなんども「擦っている」うちに、摩擦でゴムが破れそうな気配だ。私の字はそれほど綺麗な方じゃないが、どうもしっくりこない。我ながら、宇宙人からの手紙のような感じのする字体である...

なんとか「真似事」はできた。しかし、水準が低い...やはりApple Pencilを試してみたい、ということになったのは自然な流れだったか、それとも最初から決まっていた「運命(さだめ)」だったのか、なににせよ、とにかく注文してみることにした。注意すべきは、出費はApple Penciだけでは済まないという点である。Pencilが対応している新型のiPadも同時に注文しなくてはならないのだ。これは100均で済んだこれまでの試みとは「桁違い」の経費を必要とする...

iPadApple Pencilを購入する

Apple Pencilには2種類ある。第一世代と第二世代だ。第二世代は、限られたタイプのiPadしか受けてつけてくれない(iPad proのみ)。100均の「デバイス」は単なる棒であって、電池も電源も不要だった。しかし、Apple Pencilは充電が必要なBluetooth機器である。わかってはいたことがだ、いざその事実に直面すると、ちょっとうろたえる。できれば、充電だけは避けたいものだが、長持ちしてくれれば良い(Apple pencilの充電がどのくらいあるかを調べる方法はこちらが参考になる)。15秒で30分は使えるそうだが、100%充電するには長いこと電源にさす必要がありそうだ(一晩充電で100%になったので、これから半減期を測定してみたいと思う)。

さて、注文してから5日ほどで品物が届いた。新型コロナウイルスで汚染されているかもしれないので、十分日光に含まれる紫外線を浴びせ、その後で塩素系殺菌剤で梱包、および製品を軽く拭く。この間、顔が痒くなっても、手で触らないように耐える。最後に石鹸で手を洗って完了である(CDCのレベル4対応とまではいかないが、素人なのでこれでウイルスには勘弁してもらえるだろう)。

Apple純正の製品なので、メモ、keynote, pagesなんでも使える。色々試してみた結果、メモが一番使い良さそうだ。早速試してみた。

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Apple pencilによる数式と英語

 100均のスタイラスペンとは、雲泥の差である!オンライン講義では、やはり後者でないと使えないと感じた次第である。

zoomの共有画面には、「ホワイトボード」というツールがあるが、Apple Pencilはそこで直接使うこともできる。しかし(ソフトウェア的に)設定される「ペン」の形状があまりよくないので、大きな文字しか書けない感じがする。学生たちに披露すると、「文字が大きく、ページが次々に更新されてしまうので、ノートをとる時間がない。しかも、一画面に描かれる情報量が少ないので、一旦ページを動かされてしまうと、前のページからの議論の流れが分断してしまってわかりにくい」というお叱りを受けてしまった。

ということで、次回はメモ+Apple pencilの組み合わせていこうと思う。メモが良い点は、罫線が出せるのでまっすぐ板書ができることと、字を小さくかける点である。これならば、一画面にたくさんの情報がもりこめるので、議論が追いやすいはずだ。

 

つづく